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点字ヲ知ルコト。

毎日不自由なく生活ができること。これは決して当たり前のことではありません。人間、健康なときにはなかなか気づかなかった事が、病気や怪我に見舞われたたとき、強く見えてくることがあります。別にそういう立場になった訳ではないのですが、あのような大事があったことも重なり、もしそうなったら…という視点でいろいろなことを調べておりました。その中で自身の仕事に近い事柄として、ひと際興味を抱いたものがありました。

それは「点字」です。
点字とは、ご承知のように視覚に障害のある方のためにつくられた文字です。手で触ることで文章やメッセージを伝えてくれます。
実はこの点字、とても機能的な構造をしていまして、ひとつの音を6つの点の組み合わせで表現しています。たとえば仮名の場合(ひらがな・カタカナの区別はない)、母音の位置はそれぞれ固定で、それに子音の位置をあわせて50音を作り出しています。濁音や半濁音もその文字の前に特定の点を置くことで区別しています。

ちなみに「タイポグラフィ」という言葉ならこんな感じです。

点字で「タイポグラフィ」

このほか、数字やアルファベットの表記もできます(ただしちょっと複雑です)。と、ごく簡単に記しましたが、実際に見えない状況の中でこれらを判断するのは、とても大変なことだと思います。光のない不自由。その不自由さをすべての人がなんらかの形で体験するような機会があれば、点字に興味を持つ方が増えていき、点字を使う立場の方を今以上に広く理解し、受け入れてゆけるような状況になるのではないか…なんて気もしています。

そんな意識もあって、先日、とあるイベントに出品する作品でちょっと実験的なことをしてみました。制作したのは、普通の文字と点字をひとつの紙面に取り込んだ視覚触覚詩。視覚詩とは、いわゆる「見る詩」で、その構成はグラフィックデザインに近い感じです。以前から視覚詩を意識したものはいくつか作っておりましたが、今回は活版印刷の技術を使って、普通の文字は凹まして、点字の部分はエンボスをほどこして紙を盛り上げました。通常点字はいわゆる点字器や点字プリンタというものを使って書きますが、それを普段の仕事の延長の技術で再現できないかと思った次第です。紙によって仕上がりにかなり違いがでましたが、それでも会場で手にとってくださったみなさんに「点字なんですよ」「これで文章になっているんですよ」とお伝えすると、活版での技術とともに、点字のもつ魅力に興味を示してくださいました。目で感じられる方々には点が文字であるという不思議さを。手で感じられる方々には、目で見るものと同じくらい多様な表現があることを。仕立てそのものはまだまだ固い感じですが、違う立場の方どうしが共有できるものの姿として、まずはひとつ示せたかなと思っていますが、実際にお使いになっている方々の反応は、まだとってないんですよね…。

大崎さんの作品

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